建築家は何をする人?
建築家は、建て主の「夢」を「かたち」にする仕事をしています。
その為には、建て主の信頼を得なければその仕事を行うことが出来ません。

建築家は、その信頼に応えるために高い技術と能力を身に付けるための研鑽を積んでいます。
(建築家という資格はありません。建築士の資格を持っている人で施工会社やメーカーに所属
せず、独立して設計・監理を専業とし、倫理規定に基づき信念を持って仕事をしている人
いいます。
決して、自己顕示欲が強く変わったデザインの建物を設計している人ではありません。)  

建築は、幅広い技術分野を総合してつくられますので、建築家は単にデザインだけではなく法
律的問題、機能性、経済性、耐久性、工事の監理、完成後の維持にいたるまで、広範な分野
について専門家として建て主の信頼に応えることになります。

したがって、建て主の正当な利益を守るためには中立的な第3者の立場でいなければなり
ません。そのことにより初めて、建築家は材料の選定や工事費の査定などの設計監理を建て
主に代わって適正に行うことが可能となります。

 設計監理 業務の流れ
       出会い・・・・・・・
         
         
建て主と建築家との出会いは、よくお見合いに例え
られます。建て主の善意や建築家の能力だけでは
夢は形になりません。
住まいに対する好みや生活スタイルなどを十分話し
合い、相手が理解してくれるか、また相性が合うか
確かめることが大事です。
    調査・企画・・・・・・・

                

建築するには、たくさんの法律や利害関係を調べる
ことが必要で、いきなり設計にはかかれません。
現地調査や行政との打ち合わせを行い、用途地域
/建ぺい率/容積率の確認を行います。
調査結果を基に、建て主の要望をラフスケッチの
プランにまとめます。
     基本設計・・・・・・・
        
ラフプランで、設計を頼める建築家であると決めて
頂いた場合に、初めて設計監理業務契約書を結び
、建て主の希望をできる限り実現しながら、安全性
や快適性、近隣の街並みや環境などを読み取り構想
を練っていき、規模・かたちを決定します。
     実施設計・・・・・・・
        
基本設計をもとに、更に建て主と打ち合わせを重ね
工事の元となる詳細な図面や建物の品質を定める
仕様書などを作成します。
木造2階建て30坪程度で、図面は約40枚になります。
     施工者選び・・・・・
        
建て主に施工者選びのアドバイスをします。
建て主の知り合いがあればそこも入れて普通は、
3社程度選定して入札で適正価格のところに決定
します。建った後のメンテナンスを考えると、施工者
は現場近くの業者がよいと思います。
     工事監理・・・・・・・
        
建て主に代わり、工事が適正に行われているかを、
現場に行き各工程ごとにチェックし、適切でない施工
の場合は是正してもらいます。その結果を報告します。



      竣  工・・・・・・・
        
工事が完成した時には、建て主立会のもと確認して
もらいます。
建物が竣工したときでは、変更出来ない部分があり
ますので、建て主には工程の節目に現場に来てもら
っています。
     アフターケア・・・・ 出会いから建物の完成まで、建て主との信頼を得て
建築家はさまざまな業務をこなし、「夢」を「かたち」に
変えていきますが、建物の完成で終わるわけではあり
ません。
アフターケアを通して、新しい生活を創ることに協力して
いき、建物がある限りサポートしています。

 どうして、いつまでも欠陥住宅がなくならないのか?
繰り返し報道される欠陥住宅の、TV番組を見ていて不思議に思うことがあります。

建築する場合、建築確認を提出(その建設地を管轄する行政の窓口又は指定確認検査機関)
する時に、設計者と同時に監理者も記載するように建築基準法で定められていますし、記載が
ない場合は監理者が選定されていないと言うことになり確認は受理されず、工事は出来ません。
したがって、工事をしている現場には一定の資格を持った建築士が監理者として工事の内容を
チェックしているはずです。

ではなぜ欠陥住宅が出来てしまうのか。
理由は明らかに、建築確認時に選定した監理者が現場をチェックしなかったことになります。
ではなぜ、「監理者がチェックを怠ったのか」が疑問になると思います。

その原因の第一は、設計と施工が一体の会社組織にある場合が多くあります。
自分が属している会社の施工している建物に対して、指摘はしづらいという会社組織上の問題が
あり、チェックが甘くなります。

第二は、確認申請に監理者として記入しておきながら、責任を果たさない建築士にあります。
これはいろいろなケースの場合がありますが、ひとつは確認申請だけを行っている建築士(俗に
代願屋と呼ばれています)で、現場の監理までは行っていない場合。     
もうひとつは、普段から設計の仕事をもらっている工務店から頼まれた建築士。この場合も現場
チェックを厳しくすると次から仕事がこなくなるため、おざなりの監理になります。 

以上のことから、設計と施工が同じ業者だと工事監理の適正チェックができないことが分かると
思います。もちろん設計施工を一体で、施工監理も十分に行っている会社もあると思いますが、
その監理内容は素人には判断できないので、その会社を信用するしかありません。
しかし、住宅は一生に一度の買い物といわれる程大事なことを、相手まかせにすること自体、
大きなリスクを背負うことになります。

欠陥住宅であると分かった時から、住み手は自分で建築の構造から仕上げ材料の成分まで調
べあげ、その知識量は素人の域を越えている場合がありますが、そのエネルギーの1/10を、
建てる前に当てて貰えれば、欠陥住宅のかなりの部分が防げるはずです。

住宅の場合であれば、設計事務所に最低限3回(基礎コンクリート打設前/上棟時/竣工時) 
現場監理を頼むことで、家が傾くなどの大きな欠陥は生じないはずです。  
費用も、3万/1回×3回=9万程度ですみます。

繰り返しになりますが、建てる前に建て主が基本的な知識を得ていれば、かなりの部分で欠陥
を未然に防ぐことができます。

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