古月建築研究所



                 構造計算書偽装問題

 昨年は一級建築士が構造計算書を偽装した為に、耐震性能が著しく低下し危険な状態の建物が建てられたと言う信じられないことが判明しました。そして、関係者は皆責任をなすり合っています。もちろん、一番の責任は構造計算書を偽装した姉歯元建築士にあることは明白です。

 しかし、建物はひとりの構造設計者だけで出来上がるものではありません。発注者が居て、総括する設計事務所(ひとつの建物は意匠設計、構造設計、設備設計がチームワークを組んで設計します)が設計図をまとめあげ、検査機関に建築確認申請をして、通った設計図をもとに施工業者が施工をします。施工中、図面通り工事が行われているかは監理者(設計事務所の場合が多いし、施工者では監理の意味がありませんので)が現場でチェックをします。

 今回は、この何重にもあるチェックが機能しなかった訳で、責任は関係者全員にあると言えます。たとえ発注者が「鉄筋を減らせ」と言ってきても建築士である以上建物の安全を第一優先すべきであったと、残念でなりません。同時に建築士の職能がこんなにも軽んじられている現状を変えて行かない限り、第2、第3の姉歯問題が生まれます。

 確認検査機関でも一級建築士が提出した構造計算書が偽装されている前提で審査すれば偽装を見破れたと思いますが、それを行うには今の何倍もの時間と費用が掛かり、市場の原理から誰も利用しなくなり検査機関は潰れてしまいますので、今後は現在の制度見直しも必要になると思います。また、設計監理者が現場を見ていれば経験から鉄筋の少なさには気づく筈ですし、構造設計者に確認をすると思います。今回の件では設計監理者の存在が報道されませんが、工事監理者が選任されていないと建築確認は通りませんので、工事監理者は居たはずです。責任を果たせない立場の人でも工事監理者になれる現在の制度も変える必要があります。

 建物の設計は住む人の人命に関わる為、建築士には法令遵守は当然ながら職能倫理も厳しく求められていますし、国民も当然の事と捉えていました。我々建築士も誇りを持っていました。この当然過ぎる前提が覆された衝撃は国民にとって計り知れないものがあったと思います。
 いままで建築士の仕事を性善説でみてきた社会の仕組みを、これからは性悪説でみる仕組みに変えざるを得なくなったことは、同じ建築士として残念なことですが、逆に倫理観を持ち正直に仕事をしている建築士が正当な評価を受けることができる社会になると思いますし、そうなることが国民に対しての我々建築士に与えられた使命であると考え、これからも自己研鑽に励み建築士としての責任を果たして行きたいと考えています。


                              平成 18年元旦 古月輝昭


       古月建築研究所にようこそ

 古月建築研究所では、建て主の「夢」を「かたち」にする仕事をしています。

 建物をたてる場合、いきなり施工は出来ません。
まず、建てようとしている人が何を望んでいるかを聞き、その思いを形にする
のが、我々建築家の最初の仕事です。

 そして、予算や敷地、法規制を調べ図面にして施工業者数社から見積もり
をとり、条件の合うところを選びます。

 次に、これが大事なことですが、図面通りの施工が出来ているかを現場で
監理(品質管理、工程・施工管理)を行います。

 以上の過程を経てはじめて、欠陥のない希望通りのものが建ちます。


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